温泉につかって本を読みたい

温泉を愛する田舎暮らしのアラフォー。読書やマンガの記録、マイルドな不幸から抜け出す方法を考えたりするブログです。

プライドを捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ。中島敦『山月記』。

こんばんは。

ぬくさんです。

 

今日は、しばらくブログが書けなかったことを書きたいと思います。

 

ぬくさんは、仕事でブログを書いています。

ゆるいとはいえ、フリーランスなので、

集客や情報発信、活動報告などを書いています。

 

それがここ数か月、ぜんぜん書けなかったんですよ。

仕事にならない!!

大変!!

 

大きな環境の変化があったので、順応するのに精いっぱいで、ブログどころじゃなかった、っていうのもあります。

 

でも、いちばんの理由ってそうじゃなかった気がする。 

 

 

仕事のときって、仕事モードになるでしょ? 

キャラを作りすぎたんですね。

カッコつけすぎてたの。

フリーランスっていうのもあるかもしれない。

基本、見栄っぱりなもので。

 

できない自分が許せない。

カッコわるい自分が許せない。

気弱になってる自分を、仕事ブログの読者さんに見せたくない。 

文章書くと、それが出てしまうかもしれない。

 

 

そういうふうに、思考が自意識過剰スパイラルになってるとき。

思い出すのが、中島敦の『山月記』です。

 

 

 

李陵・山月記 (新潮文庫)

李陵・山月記 (新潮文庫)

 

 

ぬくさんの持ってるのは、平成元年に改版された、平成八年五十二刷の新潮文庫

中学生のときに教科書で読んで、高校生のときに文庫本を買いました。

もう20年以上前!

 

34歳にして夭折した天才作家ですが、谷崎潤一郎みたいに、どれ読んでも面白い、とゆーわけではなく、文章がうまいだけで、わりと退屈な作品も多い。

戦争に行って、死を予感してからの作品が抜群にいいです。

 

新潮文庫版は、最高傑作ばかり。

 

個人的には『弟子』が好きすぎます。

男子として生まれたならば、主人公・子路のような快男児として生きたかった。

女子として生まれてしまったので、中二病を患ったままオバちゃんとなってしまいましたが。

『李陵』も『名人伝』もいいです。

何回読み返したか、10回から先は数えていない。(たいしたことない)

 

中島敦好き」という人とは、それだけで友達になれると思い込んでます。

 

 

で、『山月記』です。

教科書で読んだことある人多いはず。

 

主人公の李徴は、若くして、科挙という、当時の中国の超・難関国家試験に合格して、進士というエリート国家官僚となりました。

 

ですが、ひねくれていて、プライドが高すぎる李徴。

バカな上司の下で働いてるのがいやで、詩人になって、後世に名前を残そうと志します。(このあたり意識高すぎる系の若者を髣髴とさせます。)

仕事をやめて、ひきこもって詩作にふけります。

 

でもなかなか有名になれなくて、やむをえず、妻子を食べさせるために再就職します。

 

ところが、かつての同期は昇進してるし、昔、小者扱いしてたやつが上司になったりしています。やってらんねえええええ。

 

この続きは本編をどうぞ!!

 

で。

 

この年になって、つくづく思うのは、「まちがえてもいい」「恥をかいてもいい」って思って覚悟して、自分の望みにまっすぐ向っていく人が、いちばん良いかたちで結果を出しているんですよね。

 

ぬくさんは、たいした実績のない人生を歩んできましたが、おかげさまで、いまはちいさな幸せを積みかさねさせてもらって、生きています。

 

これは、その時々で、自分の望みに正直になって、恥を覚悟して行動してきたからかもしれません。

 

もちろん、できてないことのほうが多いけどね!!

基本チキンメンタルだしね!!

 

 

そんなことを考えて、読み返した『山月記』。

やっぱりよかった~~~。

普通によんでもいいですが、おススメは音読。

とくに漢文調のあたりは、鳥肌立ってくるくらいかっこいいです。

 

 

神ならぬ人の身では、

すべての願いが叶うなんてことはないし、

すべての欲が満たされるなんてこともないです。

 

でも、人間って、いくつになっても、変われます。

 

変えられないものは変えられないけど、

変えられるものは変えられます。

 

 

山月記』を読むたび、自分をごまかして生きることの哀切を痛感します。

 

はあ。また感動してしまった。

 

日々是好日。

 

読んでくださってありがとう。